第16話 隠秘 漣蓮視点2019.12.11 11:00「あんた・・・まさか、 フランドール・スカーレット!?」その問いに、彼女は答えなかった。ただ俯いて、無言を貫く。辺りの時間が固まったような感覚・・・いや、実際に止まっているのだ。人は呼吸さえ許されていない。太陽はそこから動かず、風の一つさえ吹かない。それは、禁忌だったのだ。幻想郷...
第15話 回顧 漣蓮視点2019.12.09 15:00昨日ちょっと遅めに寝たのにめっちゃ早めに起きれた。なんだかんだ言ってあの後なかなか寝付けなかったのだ。最後に時計を確認した時には確か24時だったと思う。その位の時間に寝たが、今時計を見れば7時と書いてある。1時間くらい遅れた時計ならまあ普通の起床だとは思うが、残念ながらこの時計は...
第14話 帰還 漣蓮視点2019.12.05 15:00いとも容易く世界を書き換えてしまった漣蓮に、紫は唯恐怖を感じていた。そして招いた惨事が、此れである。此処は幻想郷、神や妖怪の住まう忘れ去られた者共の楽園。しかし外界の記憶力は常々進化して行く。此の世界に来る者は、ある日を境に一人として現れなくなった。幻想郷と日本と言う外界との境界...
第13話 意外 漣蓮視点2019.11.22 03:03その能力は聞く所によるとかなり珍しいらしい。何が珍しいのかを聞くと、数多の回答例の中にある共通点があった。ここまでアバウトなのは珍しい、と。尋ねた人は皆こう答えるのだ。しかし、この世界の常識など微塵も知らない彼にとって珍しいの感覚は正常に機能しない。強いて言うなら、その能力はかな...
東方夢創禄 一触即発2019.11.06 12:43気さくに声をかけた、それだけで目の前の存在はフランへと移り変わった。それだけ漣蓮の持つ力と言うものは大きかったのだ。しかしこれは漣蓮の能力などではない。ただ、フランの中にある漣蓮と言う存在がそこまで大きなものになっているが故の力なのだ。だが、察しの悪い漣蓮がこれを理解する事など実...
第11話 同行 漣蓮視点2019.10.06 14:44相手は心が読めるとなると攻略難易度はかなり上がる。其れを経験則的に知っている漣蓮は半分絶望の念を抱く。其れすら読み取っている筈の目の前の妖怪・・・さとりと名乗った少女は口を開く。「随分と思い悩んでた見たいだけど、何かあったの?」多少の警戒はしながらも在った事を事実そのまま話す。当...
第10話 回想 漣蓮視点2019.08.03 14:59得体の知らない少女についていき、その屋敷の中へと足を踏み入れた私はまず驚いた。屋敷である事を誇りに持つように、その広さは尋常ではなかった。此処は玄関近くと言う事もあり大広間的な空間なのだろうが。だとしても大き過ぎると思うが。そんな空間を我が物顔で歩き続ける目の前の少女。仕草そのも...
第9話 招待 漣蓮視点2019.07.31 09:16あの地下街。正確に此処がどのような所なのか全く予想が付かない。とりあえず此処が何なのかを調べるべく周りを探索する事にした。何処と無く中華街のような雰囲気を持つその町並みは人気が無いにも関わらず十分過ぎる生活感を見せている。周りを見てもあまり分からないので真っ直ぐに歩き出すことにし...
第8話 選択 漣蓮視点2019.07.28 16:41「あっちとこっち。貴方はどっちを選ぶ?」幻想郷の賢者、紫が放った言葉の意味をしばらく理解出来ずに居た。そして理解した。してしまった。あっちとこっち。現実か、幻想郷か。彼女はもしかしたら所謂転生の機会を与えようとしている気がした。実際がどうであるか知らないがそんな気がしただけだ。自...
第7話 既視感 漣蓮視点2019.07.25 01:15「蓮~?急いで~」家の外で私を呼ぶ声。声の主は生徒会役員で同じ役職を担当する笹浪華凜。確か今日は打ち合わせを朝にするとか言う話だったなと思い出す。急いで身支度をして家を出る。「ごめん、変な夢見てた」「なんか最近多いね、大丈夫?」「多分大丈夫っしょ」「軽いね~」夢を見る時は脳が情報...
第6話 地底 漣蓮視点2019.07.20 11:02初めて見る筈のこの景色。それなのに何処か見覚えのあるような感覚。それで尚この森の美しさは威厳を放っている。澄み渡る青空。風に揺られ自由に舞う木々。そんな時、ふと疑問に思った。何故誰もいないのか。誰もいなくても不思議ではない森の中。この思想に至った要因は自分でも分からない。この景色...
第5話 現実 漣蓮視点2019.07.16 14:57「はははハははハハはハははははハハハはハハ」やばい。体力が。「ハハはははハはははハハハはははハハハハはは」笑い止まないと。「はハハはハハハはハハはははははハハハはハは」死・・・ぬ・・・。「ははハははハははハハはは・・・」――急に笑い声が途絶えた。自分の意志とは関わらず、人間として...