第7話 既視感 漣蓮視点

「蓮~?急いで~」

家の外で私を呼ぶ声。

声の主は生徒会役員で同じ役職を担当する笹浪華凜。

確か今日は打ち合わせを朝にするとか言う話だったなと思い出す。

急いで身支度をして家を出る。

「ごめん、変な夢見てた」

「なんか最近多いね、大丈夫?」

「多分大丈夫っしょ」

「軽いね~」

夢を見る時は脳が情報を整理する時だと聞いた事がある。

全く夢を見ないという事を全く整理されていないと捉えると夢を見ているだけ幾分ましなのだろう。

それと同時に夢の内容は意外と覚えていないものだと言う。

確かにその通りだ。

現に私は今夢の中で何が起きていたのかあまり記憶に無い。

正確には思い出そうとするほど思い出せなくなる。

所詮は夢の話だと区切って生徒会の打ち合わせに赴く。


打ち合わせが終わり、時間がまだあるという事で軽いリハーサルも行った。

結果はまあまあで及第点って感じだったが。

先輩や私を含む1年生は全員満足したような顔だが顧問だけが違った顔付きをしていた。

そこから長い長い顧問の懸念点を聞かされた。

確かにそうしたほうがいいかも知れないという話しはあった。

が、残っていた時間全てを持ってしてまでの行いではなかったのではないかと思う。

顧問相手にそんな事言ってられないが。

生徒会が解散となり、華凜が声をかけて来た。

「疲れたね~」

「そだね~」

「そういえば夢ってどんな感じなの?」

「この前説明したら全く聞いて貰えなかったのですがそれは」

「あぁ、あれは・・・まあ、悪かったよ」

説明をした。

確かに自分はどこかの世界にいた事。

そこで何かが起きたのだと。

事の顛末は覚えているのに何が起こったのかは全く覚えていない。

という事も一緒に説明した。

そして今日の夢についても説明した。

話を受けた華凜はというと。

とてもどこか嬉しそうな顔をしているではありませんか。

・・・ふと思う。

華凜の顔は今迄に何回も見てきた。

だから少なくとも輪郭やパーツの配置などは覚えている。

なのに・・・。

久し振りにあった知人みたいな感覚がする。

今迄こんな事無かった。

たった今、突発的に思ったこと。

夢の影響かなと考えてみるも何が起こっているのか覚えていないので仮に影響があったとしても分からないだろう。

と言う話もそこそこに、華凜はこの事象についてどう思っているのか聞いてみた。

「なんて言うか・・・大変そうだね」

めっちゃ他人事。

いや他人事でいいんだけど。だけどさ、説明聞いてそれはちょっと・・・ねえ?

「かな~り大変ですよ」


さっきは気が付かなかったが。

華凜の顔に、切り傷のようなものが付いていた。

見えたのはそれだけだったと思うが。

不思議と彼女の腕を確認したくなった。

「なぁ、最近怪我とかした?」

「ん?最近はね~、ドジが多くてね、怪我多いよ」

「何となく気になったんだけど腕ってどうなってる」

「腕?」

単刀直入過ぎたか。

これでは怪訝に思われてしまうではないか。

だから私の国語力は・・・。

「腕はね~・・・ちょっと酷いから見せたくない」

「・・・そうか、ごめん変な事言って」

「・・・ちゃんと脳休ませるんだよ」

ほら変な空気になった。

と言うか頭を休ませる方法が分からないから今こうなっているんでしょうが。

小走りで去っていく華凜を見ながら何故あんな考えに至ったのか思考を張り巡らす。

とても単純な要素で言えば私が彼女に恋していたと言う線。

仮に恋していて急に腕の容態を聞きだすとかありえないな、却下。

夢の影響だった線。

仮に影響されていたとしても覚えていないから何に影響されているのか全くわからない。


それから何時間がずっと考え続けていたようだ。

見回りに来た先生に促され帰宅する事にした。

帰路に付いてからもずっと考えるのは夢の事。

ただの夢だと割り切れない感覚。

人間の記憶力が夢にまで適応されない事実に不満を垂れていた。

家に着き、風呂に入る等して生理的欲求を満たしてベッドに倒れこむ。

そして考えるのは夢の事。

よほど集中していたのか気が付いたら眠りについていた。


見たことあるこの禍々しい空間。

ああ、あの時と同じだ。

あの時がいつの事か分かっていないが理解する。

目の前に現れた二人。

八雲紫、八雲藍。境界を操る能力を持つ妖怪の賢者とその従者。

紫が口を開く。


「あっちとこっち。貴方はどっちを選ぶ?」


後書き

夏休みに入った漣蓮。

夏課題を最初の2週間くらいで終わらせて残りは遊ぼうと思った。

けどよくよく考えたら中学校から毎年ずっと同じ事思って最終的に溜まってんだよな。

まあそんな話は皆様興味ないと思うのでぶっ飛ばして。

今作からよく分からない話の展開が多用されます。ご注意下さい。

何故かって?そんなの決まってるじゃん。

私のネタが無いんだよ。

だって次の話を書こうと話の構成作ってると何故か5話くらい先の話が出来上がるんだもん。

一回それを書き上げて5話くらいでその話の内容に持って行くという手段もありか・・・。

んまあ執筆者事情もこのくらいにして。

よいフリーライフを。


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