第16話 悵恨 フラン視点2019.12.24 15:00あんな、唐突な話に対応等出来るわけも無く、ただ悩むだけの日々が過ぎて行った。誰かに相談なんて出来る訳も無く、ましてや蓮になんて言えるはずがない。ただ只管に無駄な時間が過ぎて行く。肉体としては人間だが、その精神は吸血鬼のそれなのだ。時間の感覚と言うのは人間の何倍も長い。その為、人間...
第15話 葛藤 華凜視点2019.12.18 15:00「・・・て感じのストーリーだけど、どっすか?」ある日生徒会顧問から言われた無茶振り。「何か適当に話作ってくれない?ファンタジックな奴」無茶振りにも程があると思ったが、意外にも蓮が快諾した。だから同じ役職だった私もその担当になったのだが・・・。今でも彼が何故自分からやると言ったのか...
第14話 後悔 フラン視点2019.12.14 15:00アエオンで色々見て回った。蓮と一緒に居る事が嬉しかった。そんな時間は簡単に過ぎ去るものだ。少し恋しいと思いながらも、その日は終わろうとした。だが、どうしても聞きたかったことがある。其れを聞こうと、彼に声を掛ける。「ねえ・・・」「ん?どった?」返事はいつもの彼の調子だ。少しひょうき...
第13話 邂逅 フラン視点2019.12.09 15:00彼は私に気付いてくれるだろうか。彼は私を受け入れてくれるだろうか。根も葉もない不安が押し寄せてくる。そのたびに、確証も無い声が聞こえてくる。大丈夫だよ、と。そうあってほしいという、心の表れだろう。だが、そんな事はどうでもいい。此処に来る前に紫から聞いた事。私の意識として此処に来る...
第12話 決意 フラン視点2019.12.08 14:34自分ですら気が付けなかった、自分の中にあった2つ目の人格。其れは一度対面していた、ネラと名乗った奴だろう。確かに一度会っている。だが、其れを自分と理解出来るほどの能力は残念ながら持ち合わせていない。彼女は私とは名前が違った。彼女は私とは考え方が違った。彼女は私とは・・・。相違点ば...
東方夢創禄 一触即発2019.11.06 12:43気さくに声をかけた、それだけで目の前の存在はフランへと移り変わった。それだけ漣蓮の持つ力と言うものは大きかったのだ。しかしこれは漣蓮の能力などではない。ただ、フランの中にある漣蓮と言う存在がそこまで大きなものになっているが故の力なのだ。だが、察しの悪い漣蓮がこれを理解する事など実...
第9話 再会 フラン視点2019.10.04 11:53望みを求めた事が人生の歯車を狂わした。今や狂気の坩堝にあるフランの中の意識はそう現状を捉えていた。どれだけ望みを持とうと、それを超える絶望が迫る。その証拠に、どうだ。一瞬だけ、フランがフランになった時、フランが見たのは名残なんて残ってない、唯顔だけが残った咲夜の顔があった。姉は涙...
第8話 過去 フラン視点2019.08.06 16:30自我が芽生えた時から既に自分の名前は決まっていた。唯、その名前の由来も込められた願い等も一切知らされないで。その時から記憶しているのは家族は姉一人だけだという事。小さい頃から内気な性格だったわけではない。姉と仲が悪かったわけでもない。自分の中の最古の記憶を辿れば姉と楽しく遊んでい...
第7話 狂気 フラン視点2019.08.04 22:08白い、白い夢を見た。何も無い世界の夢を見た。何処までも白く、空虚で、虚しく、広い世界。そんな私も同じく空虚なのだろうか。何も無い世界に音が現れる。それは喧騒のような騒がしさ。人々の会話の音だろうか。何と言っているのかまでは分からない。それでも、何か話しているような。地下深くの幽閉...
第6話 支配 フラン視点2019.08.04 16:01許さない。全て、絶対に許さない。こんな私でさえ生きようとする。死んでしまえばいいのに。そこまでして何になる。希望的観測にすがる愚かで醜い行い。この私が折角殺してあげようとしたのにそれすらも防ぐとは。なれば、残された手段は唯一つ・・・。――直接乗っ取って支配するだけだ。寝たら駄目だ...
第5話 崩壊 フラン視点2019.08.04 14:31此処に幽閉されて、どのくらい経ったのだろう。一日の感覚が薄い。ふと周りを見渡すと何故か凄く荒れていた。自分の知らない所で発散でもしていたのだろう。それは今までもあった事だし、今更気に止めなかった。意味も無く起き続け、睡魔の誘いと共に夢の世界へと潜る。又起きて、寝て、起きて、寝て・...
第4話 幽閉 フラン視点2019.07.28 13:55一通りの話を済ませた頃、蓮から新たな質問が寄せられた。「な、なあ、私の能力って分かったりしないか?」能力・・・。さっき話した内容にもあった。新人らしく、その新しい要素に興味津々のようだ。どこぞの大妖怪なら分かるだろうが、私にはそんなものわかりゃしない。「えっと、私はわかんない」人...