第5話 崩壊 フラン視点

此処に幽閉されて、どのくらい経ったのだろう。

一日の感覚が薄い。

ふと周りを見渡すと何故か凄く荒れていた。

自分の知らない所で発散でもしていたのだろう。

それは今までもあった事だし、今更気に止めなかった。

意味も無く起き続け、睡魔の誘いと共に夢の世界へと潜る。

又起きて、寝て、起きて、寝て・・・。

全く意味が無いサイクル。

外界との接触を今迄以上に断たれたこの空間で何が出来ようと言うのか。

それでも、生きたいと心の中では言っている。

意味の無い毎日を過ごし、その価値すら見出せなくなったとしても、永遠にこの心は叫んでいる。

まだ生きていたい。と。

その理由は簡単だ。

私の人生で初めて私の全てを認めてくれた、あの漣蓮という人のお陰だ。

又会いたい。会って話がしたい。なんでもいい。とにかく一緒にいたい。

そう思えば価値の無い毎日も耐えられる。耐えられている。

しかし、同時に悪魔も存在する。

会えるわけ無い。二度と会えない。そう考えてしまう。

一度だけの光。どうしても此処で掴みたい。

蓮がどういう人物か分からない。

もしかしたら既に無関係者を装っているかもしれない。

もしかしたら私の事を探していてくれるかもしれない。

絶望と希望が共存する中で毎日を過ごす。

掛かるストレスは半端なものでは無いだろう。

でも今はそうしないと生きていけない。

・・・寝るか。

ふかふかでもないベッドに潜り、眠りに付く。


又起きた。起きて、気付く。

先日より部屋の荒れ方が強くなっている。

よく見ると私の体にも傷が付いている。

切り傷。しかもその全てが動脈部分に集中している。

もしかしたら、寝ている間の無意識状態の時に自傷行為を繰り返しているのかもしれない。

そう思った瞬間、睡眠に対し大きな恐怖を抱くようになった。

寝てしまうと、自分を殺してしまうかもしれない。

嫌だ、まだ死にたくない。せめて、せめて蓮ともう一度会いたい。

――睡眠恐怖症と言う恐怖症になった。

本来の意味とは変わるかもしれない。でも寝ている間に無意識に自分を殺そうとしている。

自分はまだ死にたくないのだから、寝てしまえば死んでしまうかもしれない。

それが怖い。

その日から、睡魔との死闘が続く。

何もすることが無い部屋で、唯睡魔と闘う毎日。

蓮はどうしているのだろうという思い。

捨てられたんじゃないかと言う不安。

これから私はどうなるのだろうという気持ち。

さっさと死ねば軽くなれるのに、不確定要素にしがみ付き、醜くも生きようとする。

体が本能的に死のうとすれば精神で制御する。

精神を削り、精神を虐め、精神を束縛し、精神で守る。


使いすぎた精神が崩壊するのはそう遅くは無かった。


後書き

はいはい何故か急にめっちゃいい感じのストーリー思いついたから忘れない内に急いで書いてるぜ。

今回はいつにも無い終わり方でしたね。

題名の「崩壊」は精神崩壊の意味です。

いつからか知らんけど題名を二文字にしようとするプライドが出てきちゃってww

たまに二文字じゃないけどね。

それにしてもフランさんよく生きてますよね。

私がこの状況だったら迷い無く死んでると思う。え?不吉?じゃあ辞めます。

この今を生きようとするフランですが、後々可哀相な目にあう予定です。”予定”です。

そんなわけで。

よいフリーライフを。


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