彼は私に気付いてくれるだろうか。
彼は私を受け入れてくれるだろうか。
根も葉もない不安が押し寄せてくる。
そのたびに、確証も無い声が聞こえてくる。
大丈夫だよ、と。
そうあってほしいという、心の表れだろう。
だが、そんな事はどうでもいい。
此処に来る前に紫から聞いた事。
私の意識として此処に来るのは此れが初だが、此の体は日頃漣蓮が話している相手。
紫曰く、私は頻繁に此の体に出入りしていたらしい。
そんな記憶無いといったが、其れも其の筈。
別次元の話だったんだから。
だから、其の象徴はここでも表れる。
だって、ほら。鏡を見ると、目の紅い、吸血鬼が居るんだもん。
彼は、漣蓮は容姿はそのままのはず・・・。
でも、彼は言っていた。此の体は自分のものではないと。
元の体は全く異なるものだと。
だからこそ、不安がある。
私は彼を見つけられるだろうか。
見つけられなかったら・・・。
更に不安を募らせる要因が。
紫はここに来る時、もう戻れなくなるかもと言ったのだ。
其れがどうも怖くて。
こっちの世界で、探し人すら見つけられなくて、そのまま彷徨う。
そんな未来を予想してしまう。
幸いな事に、此の体自体にある程度の記憶が宿っている。
だから、此の体の名前が直ぐに思い出せ、且つある程度の個人情報もすんなりと脳に入ってきた。
其の中に、漣蓮という名前があったことも。
そんな考え事をしている時、電話が鳴った。
相手は・・・「蓮」と書かれている。
もしかしなくても今回の目的の相手、漣蓮の事だろう。
普通に文字が読めた事に後から驚いたが、今は其の話ではない。
電話を取って、通話を始めた。
「やっはろ~、どうだ、宿題終わったか?」
良く聞いた声。数回しか話していないが、それでも聞き馴染みのあるのは、この体が覚えていたからか、それとも・・・。
宿題・・・あぁ、終わってるらしい。
「あ~うん、終わったよ~・・・そっちは?」
「あの後何か気が乗っちゃって~・・・其のノリで全部終わらせたわ!」
自然な話が出来る。
唯其れだけが嬉しかった。
だが、恐らく彼は私を「笹浪華凜」として認識している。
それは何一つ間違っていないのだが、私にはそれがどうも癪で・・・。
「あ~そうだ、前貰った仕事だけどね・・・」
前も後も、私の意識はつい先程覚醒したばかりだ。
何も知らないが、やっぱ便利だな。体が覚えてる。
「うん、それがどうした?」
「押し付けといて~どうした~?ってなんだころやろー」
何か知らんが怒られてる・・・?
「まあいいやw・・・んと、大体完成したよ。後は確認するだけだから」
「早いね~、流石だわ」
「何かと付けて押し付けてくる生徒会役員とは違うからね」
「もしかしなくても私だな」
「自覚があるようで何よりで御座います」
「んじゃあ提出もやって?」
「・・・自覚が無かったようで」
知らない世界の知らない風潮すらも流して、此の自然な会話はなんだろう。
向こうでは一切出来なかった、ほのぼのしたひと時。
こうなっては、戻れなくなってもいいかなと。そう思ってしまうのも無理は無いだろう。
「あそうだ、これからアエオン行くけどどうする?付いてくる?」
「行く~」
「んじゃ、現地で待ち合わせるか」
「は~い」
本来は初めてなはずなのに。
何故か自然に話せる。其れが無性に可笑しくて、面白くて・・・。
待ち合わせもしてるし、準備して行こうっと。
漣蓮に会えるんだ・・・そう思うと心が弾むような、ウキウキとした感情が芽生えた。
恐らく向こうで見た彼とほぼ同一だろう。
電話越しの会話ですら、あの時となんら変わりはなかったのだから。
そう思いながら待ち合わせ場所に行くと、それっぽい人が居た。
意識としては彼と会うのは初めて。だが、体が慣れている。
待ち合わせ時刻の5分くらい前だが、まあ待つには丁度いい時間だろう。
向こうでは考える事すらなかった、この瞬間。
誰かを思い、其の為に待つ。
唯只管に地下で生活するあの頃とは全く異なる。
だが、其れなのに馴染み深い。不思議な感覚だ。
「やっほ~、時間ピッタリ」
「私は5分前に来ました~」
「え、此の私が時間前行動をするとでも?」
「な~に開き直ってるん」
初めて見たが、漣蓮。
やはり思ったとおりの人だった。
あっちで会った人間と、ほぼ同一。服装が違ったくらいかな。
こっちの世界も、いいかもしれない。
と言うか、こっちの世界の方がいい。
後書き
な~んか、納得行かない出来になっちゃったw
自分で納得行って無い上にちょっと集中力切れてたから変な日本語になってると思う。
あ、いつもかw
んじゃ、執筆者情報。
ひ~ま~だ~。
テストが終わったからやる事無いし、お仕事も終わらせちゃったし。
やる事無いから曲作ってたりブログ書いてたり。
え?動画?ちょっと何言ってるかわかんない()
まあまあ、ほら、日常動画が上がるかも知れ無いじゃん。
まだネタ開発してないけど。
んじゃま
よいフリーライフを。
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