第16話 悵恨 フラン視点

あんな、唐突な話に対応等出来るわけも無く、ただ悩むだけの日々が過ぎて行った。

誰かに相談なんて出来る訳も無く、ましてや蓮になんて言えるはずがない。

ただ只管に無駄な時間が過ぎて行く。

肉体としては人間だが、その精神は吸血鬼のそれなのだ。

時間の感覚と言うのは人間の何倍も長い。

その為、人間の数年は、例えるなら数分と同じくらいの感覚である。

それを理解しているフランは、だからこそ焦り、悩み、苦しんだ。

半年が経った頃だろうか。そんなフランを更に追い詰める出来事が連続して起こった。


「地震」が起こった。

震度7。M8.2。かなり大きい地震だ。

震央から離れているとはいえ、地脈を唸る地震の波は一瞬で此方に向かってくる。

緊急地震速報が流れた。

不協和音が繰り出す底知れず込み上げる不安感。

たった数秒の揺れが、何倍にも何十倍にも引き伸ばされたかのように終わらない。

此れがフランであったら何も思わないだろう。

だが、此処に居るのは、此処に現として存在出来ているのは笹浪華凜なのだ。

彼女は人間。人間は吸血鬼の体より何倍も脆い。

だからこそ、又此処でフランは何度目かの「死」の恐怖を感じた。

「・・・死にたくないっ!」

だが、こう思ったのは初めてだ。

生きる事に対して貪欲になった、初めての瞬間。


簡単に過ぎ去った1年間。

生徒会顧問の先生に呼び出された。

生徒会顧問の先生・・・なのだろうか。

「さて、決断出来たかしら?」

「・・・」

肯定も否定もしない。

唯黙って俯く。

其の間に最後の決断をする。

此処に居る事が最善なのか、幻想郷に戻る事が最善なのか・・・。

それに自分は納得出来るのか。

甚だ悩み所である。

だが、私が此処に来た目的を考えれば、答えは決まっていた。

「此処に・・・残る・・・」

「そう、幻想郷は捨てるのね」

言い方に棘があるように感じた。

「・・・うん」

「じゃあ彼は、漣蓮は殺すわね」

「っ!?」

予想すらしていなかった言葉に何も言い返せない。

其れをどう取ったのか知らないが、彼女は何も言わない。

「な、何で・・・!?」

「当たり前でしょ?貴方は幻想郷の民なの。其の存在が外に知られたら駄目なのよ?」

「私が言わなけ」

「もし貴女が言わないと誓っても、彼が言わないという保障は出来ないわよね?」

「っ・・・」

「だから私が彼の記憶を毎回消してあげてもいいけど・・・と言うか今迄はそうしてたわ」

若干の期待が見えたが。

「けど、毎回そんな事してても面倒じゃない?私にだって色々用事があるんだし」

全く持って其の通り。これまた何も言い返せない。

「なら、彼ごと消してしまった方が早いわよね?」

「そんなっ!」

口答えするも、其処に誰も居なかった。


後悔。そんな言葉がある。

後から悔やむ事を言う言葉だ。

その時は最善だと思えた選択も、後になっては悔やむ事がある。

今、まさに其の通りである。

私は、私の望む選択をした。だが、今其の選択は最悪の形に変化しようとしている。

唯、彼の無事を祈って。


後書き

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・つっっっっっっかれた。

24日の1時くらいに完成させたんですがね、今の所24時間くらい起きてる。

やべえ、マジやべえ。

という事で東方夢創禄番外編に当たるフラン視点第16話です。

此れは夢想禄のページに掲載されない特殊なものになります。

一応カテゴリは含めてるから簡単に探せるんだけどw

という事で執筆者情報へ。

私、学期評定、クラス、1位。

私、期末テスト合計点、クラス、1位。

学力でも成績でもクラスで1位を取り、且つ検定も沢山合格している。

まあ学科別に見たら6位とか5位なんですけど。

はい作品と関係無いどうでもいい話。

んじゃま、夢創禄は此れにて終了します。

(番外編は作るかも)


よいフリーライフを。


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