あんな、唐突な話に対応等出来るわけも無く、ただ悩むだけの日々が過ぎて行った。
誰かに相談なんて出来る訳も無く、ましてや蓮になんて言えるはずがない。
ただ只管に無駄な時間が過ぎて行く。
肉体としては人間だが、その精神は吸血鬼のそれなのだ。
時間の感覚と言うのは人間の何倍も長い。
その為、人間の数年は、例えるなら数分と同じくらいの感覚である。
それを理解しているフランは、だからこそ焦り、悩み、苦しんだ。
半年が経った頃だろうか。そんなフランを更に追い詰める出来事が連続して起こった。
「地震」が起こった。
震度7。M8.2。かなり大きい地震だ。
震央から離れているとはいえ、地脈を唸る地震の波は一瞬で此方に向かってくる。
緊急地震速報が流れた。
不協和音が繰り出す底知れず込み上げる不安感。
たった数秒の揺れが、何倍にも何十倍にも引き伸ばされたかのように終わらない。
此れがフランであったら何も思わないだろう。
だが、此処に居るのは、此処に現として存在出来ているのは笹浪華凜なのだ。
彼女は人間。人間は吸血鬼の体より何倍も脆い。
だからこそ、又此処でフランは何度目かの「死」の恐怖を感じた。
「・・・死にたくないっ!」
だが、こう思ったのは初めてだ。
生きる事に対して貪欲になった、初めての瞬間。
簡単に過ぎ去った1年間。
生徒会顧問の先生に呼び出された。
生徒会顧問の先生・・・なのだろうか。
「さて、決断出来たかしら?」
「・・・」
肯定も否定もしない。
唯黙って俯く。
其の間に最後の決断をする。
此処に居る事が最善なのか、幻想郷に戻る事が最善なのか・・・。
それに自分は納得出来るのか。
甚だ悩み所である。
だが、私が此処に来た目的を考えれば、答えは決まっていた。
「此処に・・・残る・・・」
「そう、幻想郷は捨てるのね」
言い方に棘があるように感じた。
「・・・うん」
「じゃあ彼は、漣蓮は殺すわね」
「っ!?」
予想すらしていなかった言葉に何も言い返せない。
其れをどう取ったのか知らないが、彼女は何も言わない。
「な、何で・・・!?」
「当たり前でしょ?貴方は幻想郷の民なの。其の存在が外に知られたら駄目なのよ?」
「私が言わなけ」
「もし貴女が言わないと誓っても、彼が言わないという保障は出来ないわよね?」
「っ・・・」
「だから私が彼の記憶を毎回消してあげてもいいけど・・・と言うか今迄はそうしてたわ」
若干の期待が見えたが。
「けど、毎回そんな事してても面倒じゃない?私にだって色々用事があるんだし」
全く持って其の通り。これまた何も言い返せない。
「なら、彼ごと消してしまった方が早いわよね?」
「そんなっ!」
口答えするも、其処に誰も居なかった。
後悔。そんな言葉がある。
後から悔やむ事を言う言葉だ。
その時は最善だと思えた選択も、後になっては悔やむ事がある。
今、まさに其の通りである。
私は、私の望む選択をした。だが、今其の選択は最悪の形に変化しようとしている。
唯、彼の無事を祈って。
後書き
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・つっっっっっっかれた。
24日の1時くらいに完成させたんですがね、今の所24時間くらい起きてる。
やべえ、マジやべえ。
という事で東方夢創禄番外編に当たるフラン視点第16話です。
此れは夢想禄のページに掲載されない特殊なものになります。
一応カテゴリは含めてるから簡単に探せるんだけどw
という事で執筆者情報へ。
私、学期評定、クラス、1位。
私、期末テスト合計点、クラス、1位。
学力でも成績でもクラスで1位を取り、且つ検定も沢山合格している。
まあ学科別に見たら6位とか5位なんですけど。
はい作品と関係無いどうでもいい話。
んじゃま、夢創禄は此れにて終了します。
(番外編は作るかも)
よいフリーライフを。
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