その能力は聞く所によるとかなり珍しいらしい。
何が珍しいのかを聞くと、数多の回答例の中にある共通点があった。
ここまでアバウトなのは珍しい、と。
尋ねた人は皆こう答えるのだ。
しかし、この世界の常識など微塵も知らない彼にとって珍しいの感覚は正常に機能しない。
強いて言うなら、その能力はかなり強い。その程度にしか認識していなかった。
そして、今ここに、その珍しさが功を奏する事となる。
ここでもう一度確認しておこう。
彼の名は漣蓮。能力は【万物を操作する程度の能力】だ。
能力、此処まで影響するんだな・・・。
もはやある種の感激だった。
今迄特に何もなかったただの人間だったのに突然能力を与えられて、しかもその能力を使ったのだから、興奮しない方が可笑しいのではないかと思えてしまう。
だが、そんな感傷に浸ってる暇などなく、早急な状況整理を強いられた。
ボロボロに崩れていた紅魔館はそれこそ綺麗に復活している。
優雅で、威厳あり、どこか妖艶でもある。
見るも無残な姿であった彼女はどうなっているのか。
首から上が切られ、倒してしまったペットボトルの様にドバドバと溢れる血で辺りを真っ赤に染めたあの事件は・・・。
そんな事実はなかったと言わんばかりの、いつも通りの姿勢でレミリアの隣に佇んでいた。
そう、何もなかった。
この世界では、何も起きていなかったのだ。
それを知るのは漣蓮だけだった。
「・・・まさかそういう使い方するとはね」
気付いたらここにいたと言う表現、実際に使う場面があるとは。
本当にそのままだなと他人事の様に思う。
そしてその声の主は妖怪の賢者等と尊敬される八雲紫であった。
「能力くれたのはあんたじゃないのか?」
「そうとも言えるし、そうでないともいえる」
よくあるあまり明言しないタイプだ~。
そのまま聞いてそのまま理解出来る訳ないので、その真意を聞いてみる。
「どういう意味だ?」
帰って来た返答は理解し難い、ある種では哲学にすら思えるものだった。
簡潔に述べるならば、
「呼んだのは紫であるが、能力の出所は一切が不明だ」と言う。
幻想郷に住まう生物の殆どが能力を有している。
例外的に人間が居る。が、その例外も例外によって否定される。
元居た住民で例えるなら十六夜咲夜。
新しく来た者で例えるなら漣蓮。
彼女らは人間と言う種族でありながら能力を持っている。
・・・話が盛大に脱線してしまった。元に戻そう。
紫はその話の後に、能力の使った理由を聞いてきた。
「なんであんな風に使ったの?能力を」
漣蓮は能力を使い、過去を改変した。
フランドール・スカーレットは幽閉などされなかった。と。
それは何処ぞやで教師を担っている四天王の様な能力の使い方。
だが、漣蓮はそれが誰だか知らない。知る由もない。
漣蓮はまだ人里に行った事が無いのだから当たり前だろう。
そう、具体的に能力を示されていないが故に、どんな使い方も出来てしまう。
それこそが、漣蓮の能力の異常性である。
この世界の賢者ともいわれ、ましてや牛耳っているとすら囁かれている紫が、こんな曖昧な、しかも世界を変えかねない能力を与えるわけがない。
だからこそ、彼女は漣蓮に注目していた。
自分の思わない行動をするのではないかと。
事実その通りに、漣蓮は彼女の予想を大きく上回る形で行動をした。
まさか世界そのものに干渉するとは。
深く考える紫に対し、どこまでも抜けているような漣蓮はそこまで理解していなかった。
ただ、一つ言える事があるとするならば、彼は彼なりに頑張った、それだけだ。
「でも、どうしてあんな判断をしたのかしら?」
突然の疑問。
紫からの質問。
そう、世界に干渉するという事はそれこそ多大な影響を及ぼす。
そうそう簡単に干渉されては色々と困るのだ。
何かしらの確実的な理由が欲しい。そう思うのは当然だろう。
だが漣蓮、待ってましたと言わんばかりの即答。
「それが最善だと感じたから」
誇らしげな漣蓮と、訝しむ八雲紫。
この空間のこの二人は、いついかなる場面でも何故か対照であった。
尚も訝しみ続ける紫に、漣蓮は順を追って説明をする。
1に、時々フランがフランで無くなる事は前々から疑問に思っていた事
2に、幽閉されたと知ってから、彼女の中にはもう一つの人格があるのではないかと思い始めたこと。
3に、そうあれば、その過去さえなければ全てが平和に住むと感じたから。
理由としては少しあやふやな部分がある。
感じて、だの思って、だの。こんなことで世界を変えかねる能力を使用されてはたまったものじゃない。
だが、紫が目を付けたのはそこではない。
その精度もさることながら、傍に能力者が居るのに、それよりも早くその結論に至らしめたことだ。
能力者とは、レミリア・スカーレット。【運命を操る程度の能力】だ。
運命を操るとはそれ乃ち未来を見れるという事。
そんな彼女でさえ見れなかった未来を、感じた、思ったで当ててしまう漣蓮。
それで尚、誇らない驕らない漣蓮に、逆に恐怖すら感じてしまう紫である。
もしかしたら・・・漣蓮は紫が思う以上に絶大な存在なのかもしれない。
後書き
一つ言って置こう。
めっちゃ長くなった、すまん。
いやね、今まで行き当たりばったりのぶっつけ本番みたいなコンセプトで執筆してたから一回くらいはちゃんと構成考えてから書いてみようって思ったんだよ。
そしたら構成案だと全然書いてないのに文面に落とした瞬間滅茶苦茶字数増える増えるw
そんなわけで気付いたら物凄く長くなっていたと言う事です。
まあそんな事情もさておき、執筆者情報へ。
熱出たw 37.6度が測定値最大だと思う。
なので学校早退翌日欠席となったぜ。
再来週には定期テストがあるのにね~w
本文が長すぎたので後書きはこれで終わりますね
そんじゃ
よいフリーライフを。
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