新夢創禄 1話

教室の最も窓側の席が一番好きだ。

外で風に煽れ揺れる木々を見ているだけで心が和む。

だからこそ、それを見る事が出来る窓側の席は個人的に最も好みの席だ。

外を見ている時、周りの喧騒も自然と気にならない。

本当に謎だ。ただ木々が揺れているだけなのに何故こんなにも心が落ち着くのだろうか。

揺れる木々にも、余り動かない木やずっと動いている様な木もある。

目線をずらすと校舎や車があり、科学の発展も見て取れる。

さて、もう昼休みも終わりだ。5時限目の準備をしなければ・・・。


そう言えば、今日は木曜日。生徒会の定期会議が開かれる日だ。

1年も半分を過ぎ、でもまだ夏の真っ最中である今日では、まだ新たに生徒会に所属した1年生へ洗礼を送っている。

それもそうだろう。生徒会役員を募ったのはつい1か月前。

新規で参入するのは1年生が主であり、勿論学校の仕組みすら満足に理解出来てないだろう。

しかし生徒会として募っているのは何も1年生だけと限定しているわけではない。

2年生でも一応3年生でも新規参入が認められている。

3年生に限っては進学・就職の準備で忙しく、生徒会なんてやってる暇無いと思うが。

そんなもんだから、新たに同学年の生徒が来ても何ら不自然ではない。

新たに生徒会に名を上げた同学年の生徒、その名も「笹波華凛」。

聞く所によると、成績上位で運動も出来ると言う。

さて、彼女に対する洗礼はと言うと・・・全て此方に一任された。

どうやら日頃手持ち無沙汰にしてるのが影響したそうだ。

何もサボっているわけではないのだが、まぁそう見えていたのなら仕方が無い。

これでサボってないアピールのが出来るのなら無問題だ。

勉強も運動も出来る彼女に教える事などほぼ無いだろう。順位で言えば此方の方が上だが。


生徒会定例会議も無事終了し、帰路に付く準備をし始める。

実に面倒な事に今日は木曜日。まだ金曜日と言う悪魔が残っている。

さりとて金曜日。後何時間で休みに入ると言う心の拠り所があるだけ良いだろう。

今日の予報は雨が降ると言っていたが、どうやら杞憂に終わったようだ。

しかし予想以上に会議が長引いたのか辺りは真っ暗。星が見えるレベルに。

1等星は勿論2等星、よくよく見れば3等星も見える。

何と幻想的なのだろうと感嘆していたが、親も心配するだろうし早く帰ろう。

学校から近い所に家があると言う事はこういう時にも優位に立てる。

帰路に付き歩いて数分、玄関先で鍵を取り出し、開錠。

戸を潜り、靴を脱いで気が向いたので振り返り揃える。

ほぼ無いような短い廊下を歩き、自室の前へ。

自室の扉を開き、着替え、左手にあるハンガーへ制服を掛ける。

そこまですると、異様に気が抜けた感覚に陥り、部屋奥のベッドに寝転ぶ。

いつもであれば寝転ぶ前にPCでネットを漁るなりゲームするなりするのだが、その気力すらない。

現在時刻は20時。今寝れば明日早く起きられるだろうし、帰ってからやろうと思ってた業務は明日の朝やろう。

そこまで手間のかかる作業でもないし、そもそも期日はまだまだ先だ。

まぁ全て今寝る為の口実に過ぎないが、心理的にこれは仕方の無い事。

寝る前に時計を見て、何を思うでもなくそのまま夢の中へと向かっていった。

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