何故学 教えてって言われても・・・

「・・・勉強教えて」

「今すっごい皮肉言われた気がするんだけど!?」

そういえば、この学校の詳しい説明がまだだったね。

私立漣高等学校。全寮制通信学校。

一般的な通信学校のイメージって殆ど家にいてたまに学校行くってイメージだと思うけど、おおよそその通り。

唯一違う点があるとすれば、その家って部分を寮って変えてやればこの学校の説明は出来るんだ。

学校の保有する寮に我ら学生は3年間を過ごす事となる。

これも、昨今から始まったリア充育成制度(自己解釈)のせいだ。

しかも寮って普通1人1個室だろ?

何故かペア(異性)とシェアルームなんだぜ。ほんと意味不明。

一応トイレとかベッドとかは離れた所に配置されてるけど、それでもこれはおかしいだろと唱えたい。

だってこれ、捉え方によってはと言うか完全に同棲だぜ?

両方の同意があってのペアだけど、流石にそこまで徹底されるとは到底思っていなかった。

と言う学校の仕組みだが、最初は滅茶苦茶嫌悪感を抱いたがもう諦めた。人はこれを悟ったと言うらしい。

まあ、諦めたと言うより、肝心のペアがやばいのだ。

言ノ葉 唯さん。数多の試験・テストを満点通過。成績は常に最上位評価である。

しかも運動も出来る為、まさに最強である。

学年主席の座をほしいままにする彼女だが、なぜか特に成績がいいわけでもない、運動が出来るわけでもない、更には超絶陰キャ。コミュ障。引籠り。根暗・・・。

言い出せば切りがないが(自己評価)、そんな奴とペアになりたいと向こうから申し出たのだ。

最初は皮肉とか冷やかしだと思ったが、此処まで来てやっとわかった。

あれは本気だったんだなと。

「・・・ダメ?」

「逆に教えて欲しいくらいなんだけどなぁ・・・ついでになんの教科?」

「・・・数学」

「数学・・・か」

5教科の中では比較的出来る教科であった。

出来ると言っても目の前の学年主席様には程遠い成績ではあるが・・・。

「いつも満点取る人にいつも平均点しか取れない人が何を教えればいいんですかね~」

「・・・嫌味?」

「そうだよ!」

首をカクッっとさせながら聞いてくるもんだからちょっと可愛いと思ってしまった。

まあ、其れも其の筈。言ノ葉 唯と言えば男子の間で一番可愛いと評判だからだ。

向こうから誘われて済し崩しにOKしたって言うのに、他の男子に目付けられて虐められかけた時は学校辞めたろうかと本気で思ったものだ。

多分、悪評判が唯さんに聞かれたくないというのが第一の理由だろう。

こっちがちょっと彼女の目の前で愚痴を零せばそれだけで悪評が付く。

しかもその能力のお陰か、彼女はカースト1位だ。

彼女が悪と言ったら全学年が悪と言わしめるほどに彼女のカリスマは強かった。

本人は其れを良しと思ってないらしいが。

「んで、何を教えろってんだ」

「・・・3元1次方程式」

わお、面倒臭そうな単語だ事。しかし、関数や方程式は得意分野だ。

2次方程式のグラフの勉強中に出てくるこいつはやり方こそ面倒だが、仕組みさえ分かってしまえばとっても簡単で、言ってしまえば作業になる。

まあ、深読みしちゃうと詰むよな。

「えっと、何が分からんのや」

「・・・全部」

あれ、大丈夫かな?夢見てる?

あの学年主席様が全部分からない?まっさか~w

「・・・全部分からない」

どうやら聞き間違いでも幻聴でも無いようです。

自分の中の学年主席の座が大きな音を立てて崩れ落ちましたとさ。

「えっと・・・説き方?」

「・・・教えて」

「あっはい」

それからは簡単だった。

作業だと言ったのには理由がある。

其れは代入して答えを出し、代入して答えを出し、と繰り返すだけだからだ。

少なくとも自分なりの解釈ではそうなってるし、授業でもそう言ってたと思ってる。

其の通り教えたら、そそくさと課題を終わらせていった。

もしかして、此の子天然?

漣蓮のブログ

ブログ初心者がそれなりに頑張って運営してる。 こうしたほうがいいなどご指摘ありましたらお寄せ頂けると大変嬉しいです。 目指せ毎日更新!

0コメント

  • 1000 / 1000