支配されたはずの体が、自分の思い通りに動かせる。
たった数分体の自由が利かなかっただけにその感覚は最早感動に等しいものだった。
だが、それは幻想郷の世界の話ではない。
どこか分からない空間の話。
そこはまるで館の一室のようだ。
但し、紅魔館とは違う。もっと・・・惨劇でもあったのかと思わせる、血生臭い部屋。
部屋は血によって紅く染め上げられ、唯其れが元々の部屋だと思わせる違和感の無さ。
そんな空間に佇む、自分。
そういえばと、フランは考え込む。
一切の音が聞こえない。
自分の足音等は聞こえる事から音が無い空間と言うわけでも、自分の耳が壊れたわけでもない。
唯、それ以外の外来的音源が一切無いのだ。
風の通る音すらない、唯只管に静寂な空間。
それなりに広い部屋と言う事も相まって、かなりの孤独感を思わせる。
・・・コトッ
何かの音が鳴る。足音に聞こえた音源の方をゆっくりと振り返る。
孤独、希望、絶望、期待、恐怖、混沌とした感情が渦を巻く。
振り向いた先、そこに居たのは、自分。
正確にはフランではない。
服は黒が基調となっている。
それ以外の特徴は特に見受けられない。
しかし何よりも、漂うオーラが異質だった。
その存在だけで場を鎮めるほどの威圧感。
無音で空虚な此の空間に、あまりにも合わない。
ただ、その状態を切り裂いたのもまたそれである。
「ねえ、何で抵抗するの?」
変わらずの無表情で問う。
フランと言えば、未だ困惑の中にある。
「聞こえなかった?抵抗する理由、教えてよ」
答えられない。訳が分からない。
「貴方が・・・誰か、分からない・・・から」
質問に対する答えの様な、疑問。
「私はネラって言うの、君の能力の権化みたいなの」
「・・・わからない」
弱弱しく答えるフランの声は静か過ぎる空間に響く。
「折角能力あるんだし、使おうよ」
「破壊は・・・しちゃ、駄目・・・って」
幼少期からフランはレミリアに能力を使うなと、強く咎められている。
「そんな事言ったら能力弱くなっちゃうよ?唯でさえ加減出来ないのに」
段々と、言葉が可笑しくなっていく。
「こんな能力いらないっ!!」
大声で叫ぶフラン。
其れと同時にフランの周りにはナイフのような物体が浮遊し始める。
まるで禁句だったかのように、それだけに反応した無数の凶器。
「え・・・」
言葉など出なかった。
何故ならフランの体は段々と浮いて行ってるのだ。
フランが自主的に飛翔したのではない。
目の前の存在の力によって起こされたものであると理解するには少しばかり時間を要した。
「何・・・!」
「じゃあお前が死ね!」
一本の凶器が真っ直ぐに此方へ飛んでくる。
真っ直ぐに、フランの脳を狙って。
逃げようにも周りには同じ凶器に囲まれていて不可能だ。
段々と近付いて来る凶器。
思わずその後の展開を想像してしまったフランは儚くも抵抗を試みる。
出来るわけ無いのに。
凶器が、直ぐ其処に、フランに刺・・・
その瞬間、空間に静寂が訪れた。
先程までの展開が無かったかのような、振り出しに戻ったような。
光が当たる。
眩しい。
此の感覚、知ってる・・・!
「よっ」
其処に居たのは、
片腕を上げ、気さくに笑う漣蓮だった。
後書き
超絶ブランクの後にまさかの2本連続投稿。草草の草。
第9話は幻想郷でのフランの動きで、そこでどこかに行ってたフラン自身の意識を描写したものです。
紛らわしくてごめんねw
何をしたいのかだけ言っておくね。ストーリー完結話を漣蓮編と同じにしたいの。
だからこうやって稼いで(ゲフンゲフン)細かく描写してるんですよ。
今回登場したフランらしきキャラですが、錦天期のキャラで「ネラ」と言うキャラです。
知ってる人は知ってるんじゃないかな?
偶々素材を発掘したのでどうせならと言う事で導入しました。
但し、性格等は調整させて頂きました。
さて、テストが目前に・・・!o( _ _ )o~† パタッ
んじゃ
よいフリーライフを。
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